繰上返済って何??
1.繰上返済の種類
繰上返済とは、本来の支払期限前にまとまった金額を返済することにより、支払利息の軽減を図る方法の事を言います。繰上返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があります。
①期間短縮型
毎月の支払額を変えずに返済期間を短縮するタイプです。繰上返済したお金は全額元金に充当されるので、その元金から発生するはずだった利息を支払う必要がなくなります。元金を充当した月数分だけ返済期間が短くなります。
②返済額軽減型
借入期間は変えずに、月々もしくはボーナス一回当たりの返済額を減らす方法です。繰上返済したお金は返済の最終回まで少額に分割して元金に充当されます。元金をまとめて減らすのではなく、期間をかけて少しずつ減らすため、期間短縮型に比べて利息の軽減効果は少なくなっています。
①利息軽減効果
「期間短縮型」と「返済額軽減型」では、元金が一度に減る期間短縮型の方が利息軽減効果は高くなります。
3,000万円を35年借り入れて、5年後に約100万円返済した場合は、以下のようになります。
繰上返済をするタイミングは早ければ早いほど利息軽減効果は高くなります。3,000万円を35年借り入れて、5年後、15年後、25年後に約100万円を期間短縮型で返済した場合、以下のようになります。
②繰上返済の有効性
繰上返済をすれば余計な利息を払わなくて済む、ということは理解できたと思います。では、お金がたまったら必ず繰上返済をした方がメリットがあるか、というと必ずしもそうとは言い切れません。ではどのような事に注意すべきでしょうか。
■ライフプランを考える
お子さんがいる家庭では教育資金、車を所有している方であれば買い替えなどは一時的にまとまったお金が必要となります。繰上返済をして利息を軽減しても、必要な時に自己資金が無ければ高い金利でお金を借入せざるを得なくなるかもしれません。また、現在、ご夫婦共働きの場合、いずれ一方が休職、退職ということもあり得ますので、将来の収入を考慮する必要もあります。繰上返済をするにしても、ライフプランを考えた上でどのタイミングでどれだけ返済し、どれだけ残しておくかをしっかり考えましょう。
■資産運用を考える
現在は個人投資も盛んで、住宅ローン金利を上回る金融商品も増えています。特に住宅ローンを固定金利で組んでいる場合、金利上昇局面においては資産運用に取り組んだ方がメリットが大きい場合もあります。リターンがある分リスクもありますので、全員に勧められる考え方ではありませんが、多少の損失は資産運用の授業料と考えることが出来るのであれば、金融知識は後々自分の財産となりますので、メリットはあるかと思います。
■将来のお金の価値を考える
期間短縮型を選んで100万円の利息軽減をした場合、実際にその100万円を実感できるのは前倒しになった最終返済日においてです。30年前と現在の100万円の価値がい違うように、30年後の100万円がどのくらいの価値になっているかは誰にもわかりません。分からないことを考えても仕方ないとも言えますが、分からない将来の価値の為に返済するよりも、今の自分に投資するという考え方も出来ます。